うつ病でLGBTな僕の生活と意見[第5回]

強迫性障害を患っていた頃①

ますみゆたか氏

[にじのこころ代表]

ドアと鍵
 

精神疾患を患い、かつLGBT(ゲイ)である──この社会では二重の意味でマイノリティでありながら、同胞たちのために自助グループ「にじのこころ」を事実上、一人で運営するという孤軍奮闘ぶりをみせる、ますみゆたか氏。LGBTコミュニティでさえ「メンヘラお断り」という理由でなかなか受け入れられないという彼が、日々の雑感を連載で綴ります。

 

自分でもやめたいと思っているのに・・・

うつ病を長い間患っていた中で、途中で他の精神疾患も併発してとても辛い時期がありました。強いこだわりが習慣的になって生活に支障をきたしてしまう心の病気、強迫性障害です。

厚生労働省「みんなのメンタルヘルス 強迫性障害」

例としては、トイレに行ったり汚れたものに触った後、手洗いや入浴、衣類を洗濯するなどの行為を必要以上に行ってしまう、外出する時に戸締りを確認するために何度も戻ってしまうなどがあります。

誰にでも起こりそうな事だけに「気にしすぎではないか」「神経質な人」と片付けられてしまいがちですが、強迫性障害の怖い所はこうした不安がいつまでも頭から離れず、自分でもやめたいと思っている行動なのに繰り返さないと気が済まない状態に陥る所です。

「強迫観念」と言う特定の考えが自分の意思に反して繰り返し浮かんでくるため、それを消そうと「強迫行為」と言う行動を繰り返してしまいます。強迫行為をした瞬間は不安が解消されますが、すぐにぶり返してくるために再び行ってしまいます。

上のリンクでは代表的な強迫観念と強迫行為がいろいろと書いてありますが、私はこの強迫性障害の症状の中で戸締りや電気ガスなどを過剰に確認する行為がやめられず、家から出られなくなりました。

 

強迫性障害のぬかるみにはまった瞬間

強迫性障害が出る数年前から患っていたうつ病が少し落ち着いたと思っていた頃、仕事が慌ただしくなり不規則な生活が続いてしまいました。私自身もうつの症状がかなり治まってきたので、多少忙しくなっても大丈夫だろうと油断していました。

そんな日がしばらく続いたある朝、ぼんやりとしたまま出勤をしたところ玄関の鍵をかけたかどうかわからなくなり、職場にいてもその事が心配でとても不安になりました。

仕事が終わり急いで帰ると玄関の鍵はしっかりとかかっていました。心が落ち着いている状態であれば「鍵がかかっていて良かった」で終わったのかもしれませんが、まだうつ病を少し引きずっている時だったので、その出来事によって何か心に暗い影のようなものができてしまいました。

最初は小さかった影が「鍵をかけていなかったら不審者が入っていたかも」のような不安や「どうして出かける時に確認しなかったのだろう」という自己嫌悪となり広がっていきました。

鍵をかけたか心配なまま仕事をしている時、ずっと頭の中が気持ち悪い感覚に包まれてしまいました。そんな嫌な気持ちをもう二度と味わいたくないと思い、次の日から家を出かける時にしっかりと意識をして鍵をかけるようになりました。

鍵穴に鍵を挿して回すのを目で見て確認、鍵がかかる音を聴いて確認、そして一度ドアを引いて鍵がかかっているのを感触で確認と、いろいろな事で鍵をかけたという自信が欲しくなりました。この程度で済めば「戸締りをしっかりとする人」で終わったのですが、これが強迫性障害のぬかるみにはまった瞬間でした。

忙しくて精神的に健康ではない状態であると、確認をしたのにも関わらずその自分の行動に自信が持てず、もう一度確認しようという事になります。最初は1回ドアを引いて鍵がかかっているのを確認していたのですが、それが2回、3回と回数が少しずつ増えていきました。ここから私の確認行為がエスカレートしていきます。(続く)。
 


ますみゆたか
ますみゆたか 
セクシュアルマイノリティと精神疾患の自助グループ「にじのこころ」代表
見た目でわからない生きづらさを抱える人達の繋がる場を作る活動をしている。
最近の心のテーマは「しずかに、しぶとく、しなやかに。」
 
 



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