ナルコレプシーという奇病をご存じだろうか。直木賞作家の故・阿佐田哲也氏が罹患していたことで知られる病であるが、昼間の耐えがたい眠気や睡眠麻痺、入眠時幻覚などを主症状とする慢性疾患である。現代医学では病理は解明されておらず、根本的な治療法もない。このナルコレプシーに罹患しながら同じように精神・神経系の病を患う人々のピアサポーターとして活躍、それで見事に生計を得ているのが増川ねてる氏(43歳)だ。病との共存を実現しつつ、自らのワークスタイルを作り上げた同氏。だが、ここに至るまでの彼の人生は筆舌に尽くしがたい苦難の連続だった。その辛苦に満ちた半生の回顧談を、インタビュー形式でまとめてみた。
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病気を拠り所とせず
自分が“こう生きたい”というイメージを大切にして
障害を理由にあきらめないでほしい
統合失調症を患う玉木宏明さん(42歳)の経歴は少々、異色だ。精神障害者を対象とする作業所に利用者として通所した後、一般企業で7年10カ月就労、その後、今年4月から就労継続支援B型作業所に当事者スタッフとして勤務している。障害者が作業所に当事者スタッフとして勤務する事例は、おそらく全国的にみてもまだないだろう。「前例がないだけに、自分自身が前例をつくるという意気込みで働いています」という玉木さんに、これまでの波乱の人生を回顧していただいた。
同じ1日24時間を過ごすなら
文句を言うより笑って過ごしたい
元・動物病院の看護師で、いまは人材派遣会社でOLとして働く首藤智子さん(仮名・38歳)は、重度の鬱病で就労不能だった時期を長く持つ。現在の会社では入社4年目だが、「サポート社員(非正規)」としてのステージも上がり、正社員への道も見え始めたところだ。「時給も上がって、ようやく生活保護を抜けるメドも立ちました」と明るく笑う彼女の壮絶な過去と、前向きに生きる現在を紹介する。