卯月妙子

どんなに苦しい状況下でもどこかに抜け穴はあるし、
楽しみを見つけることができる。

漫画界の最終兵器──今から10数年前「実録企画モノ」(太田出版)でデビューしたとき、卯月妙子氏はそんな異名を取った。若くして結婚し、一児をもうけるも、夫の会社が倒産。借金返済のためにAV女優となり、排泄物やミミズを食べるなどの過激な行為を実践。そのラディカルで毒気に満ちた行いの描写でカルト人気を博した。しかし、それから10数年、持病である統合失調症の悪化により、卯月氏は漫画家としてはリタイア状態にあった。その卯月氏が2012年、「人間仮免中」(イースト・プレス)で突然、復活。25歳年上の恋人「ボビーさん」との愛情物語で多くの読者の感涙をしぼり、作品は10万部を超える大ヒットを記録した。そのあまりにも明瞭な作風の変化は、いったいなにに由来するのか──インタビューを敢行してみた。

クッキングハウス

心病む人たちと地域住民の“共存”の場「クッキングハウス」
その創設30周年を記念する舞台の稽古を見学してみた

東京・調布市にある「クッキングハウス」は、心病む人たちに「建前は捨てて本音で生きていって大丈夫だよ」と安心感をプレゼントしてくれる「不思議なレストラン」だ。まだ「社会的入院」などという言葉すらなかった1987年、もしかしたら終生、精神病院で生きるしかなかったかもしれない人々が地域で暮らす上での「居場所」として12畳のワンルームマンションで料理教室(共同作業所)としてオープン。今では自然派レストランを2店舗構える労働と交流の場となった。そのクッキングハウスのメンバーが本年12月、調布市たづくり会館「くすのきホール」で「心の居場所 いのちの輝き」と題されたソシオドラマを上演する。5月某日、ドラマの合同練習会に参加してみた。